【ISF05】ミリオンSSゴウドウボンの感想ブログ

タイトル通り、ISFで頒布されたミリオンSSゴウドウボン上下巻の全作品感想を残しておきます。

下巻

 ギャグ系統などの作品は下巻に収録、というコンセプトのようです。こちらも上巻と同じく毛色様々という感じですね。

 こっちの方が全体的に質は悪いですが。

 表紙は亜利沙はほとんど出てきていないので、代わりに朋花や琴葉が描いてあってほしかったですね。

 

如月千早のなか☆よし大作戦」

 二次創作にありがちな「作者は面白いと思っていた」の典型ですね。冒頭が本筋に全く関係もないのにやけに尺を取ってるのも気持ちが悪いです。中の人ネタが多いですが、内輪ネタにすらならない惨状。冷ややかな目で読む以外にありません。

 中学生の書いた文章並みにパロネタも多く、落ちも弱く、引っ張ったわりにこれか……と思わずにはいられません。上下とも、冒頭の作品としての役割をもう少し考えて欲しかったです。駄作。

 

「最上静香の穏やかな一日」

 特に面白いというわけではないという点では先ほどの作品とお文字ですが、それでも上手いこと落ちをつけられているので全体を通すとそんなに悪くない、という印象。そんなに長くもなくテンポがいい。無難に凡作。百合っぽさがちりばめられているので人によって評価は上下しそう。

 

「仮初の姉妹」

 百合作品、みらしずものですね。全体的に特に起伏があるわけでもなく、たださらさらっと進んでいって適当にまとまったという感じ。つまらないわけでもないが別にときめいたりハッとするわけでもない……という印象。どこにでもありそう、と言えばいいのか。凡作。

 

「無銭飲食列伝~佐竹飯店編~」

 元ネタはライトノベルの名作「イリヤの空、UFOの夏」ですね。私も好きです。でもこの作品はダメです。元ネタの良いところを削ったり劣化させたりしているだけの作品となってしまっています。

 原作は三人称ということや、周りの客も挑戦している人物を心配したり畏怖したりしてその定食の異様さを表現していたり、そもそも本人たちももっと追い詰められる(中華丼に顔を突っ込む。調味料をビン丸ごとぶちこむ。鼻血を出す)そしてその果てにお互いへの対抗心、本心をむき出しにするというつくりになっています。そんな一方でこの作品は大して追い詰められているわけでもなく(原作と比べて、とも言えるが)普通に完食します。原作のような切迫感もなく、特に達成感がないため落ちも弱く。とにかく面白くない。美奈子が定食屋だからとりあえずパロっておこうという雑な考えが透ける。駄作。

 

「天然階級」

 オチにいたるまでもつまらないがオチも弱い。「で?」となること請け合い。笑いどころもなければ意外な展開もなく、淡々とキャラクターのボケを解析していきキャラクターに代弁させただけの駄作。

 

「青葉美咲、初めてのお泊り」

 冒頭からしてセリフが多すぎて情景がまるで分からない。律子がいるのかと思ったらいなかった。オチまでがあまりに淡々と仕事を片づけていくだけの展開が続いて流石にうんざり。合間合間に差し込まれている小鳥さんによる「百合」推しもくどくてイライラしてきます。無駄な要素だけで構成されているようなストーリー。オチもしょうもない。日常系と言えば聞こえが良いけれど、何も起こらないことと日常系を同一視するのはただの甘えです。駄作。

 

「紙の旅人」

 不自然なまでにご都合主義が多すぎます。朋花がファンでもない相手に威圧感で圧倒するくだりが一層ストーリーのリアリティを崩壊させていくようでした。そして、結局何を伝えたかったのが最後まで分からない。何の感想もわかないような無味無臭な作品。駄作。

 

「猿と猫と夢のような話」

 ホラーな世界観をとりつつ茜ちゃんが大活躍する作品。グリマスの頃の茜ちゃんのカードをいくつも踏まえて恐怖の世界から抜け出す、といったストーリー。茜ちゃんへの愛を感じられてとても良い。茜ちゃんらしさ、そしてプロデューサーがお客さんとしても茜ちゃんとふれあいたいという願いも、現実においてプロデューサーという名のファンである私たちの関係性と重なっていて素敵なつくりでした。良作。

 

「血椅子」

 ホラー小説には明るくないので多くは語れないけれど、オチはドキッとさせられました。一方でオチ以外は全く怖くないのは筆力の問題なのか意図のあるものなのかわかりませんでした。凡作。

 

「ミリオンアーマーマイティウインド」

 アイマスでやる必要ありますか? 元ネタのガチャのキャラをメインにするならともかく、百合子を主役にしてる時点で劣化ヒーローズとしか感じられません。不自然な展開(どぶの素人の百合子に大物の敵の相手を任せるなど)も目立ってやりたいことを読者のことも考えずに自己満足で詰め込んでいるという印象。そして面白くもありません。駄作。

 

「アイドルヒーローズライジングX(以下略)」

 アイドルヒーローズイベ複数の前知識が必要な作品ですね。まあ、それ自体はダメというほどではないです。ところでマイティレッドやらイエローやらという名称って公式にありましたっけ、聞いたことがなかったです。

 作品の展開自体はシリアスなはずですが、一々ギャグを挟んでコミカルになっているので奇妙な作品。どちらかに振り切った方がいいと思います。ブルーシーリングは外見の描写が一切なかったので美咲をモデルにしてるのだと気づくのに時間がかかりました。男だと思っていたので。

 そんなシリアスともギャグともわからない中で闇の力をうんぬんという話をされても公式で似たような展開していたな、としか思えませんでした。上の作品と同じく空回りした自己満足の作品。駄作。

 

「桃子を抱きしめ続けるだけ」

 出てくるキャラクターがみんな可愛い。ストーリーは特に起伏もないけれど、最後に少しときめきを感じられるラストが用意されてるので小気味いい印象を受ける。まあ凡作。

 

「幻のメロンソーダ

 とにかく文章が綺麗で繊細。琴葉の面倒くさいまでの生真面目さとよく調和していていて話全体の雰囲気が良い。文章力だけならば上下巻合わせてずば抜けていると思います。

 百合作品で、扱っているのはことめぐ。同性愛をモラトリアムの気の迷いなのかどうか、という題材をうまくさばけていると思います。最後にタイトルにもある比喩表現をうまく組み込めていて、劇的な展開はなくともうまくまとまっている良作。

 

「北川麗花の特別な夢」

 読後感が良い意味で何とも言えない。ハッピーなのかバッドなのか解釈に寄り添うな結末が素晴らしい。一人称視点がくるくると入れ替わるけれども特に問題にはなっていない作品。麗花さんらしい、ある意味の解釈をしっかりと作品に仕立て上げている良作。

 

「借り物アクトレス」

 百合作品、しずしほですね。展開はあまりにも露骨すぎて先が読めるけれども、特に問題もなくこなしているのでうまくまとまっています。無難に、オチも軽くときめくようにまとめている凡作。

 

「硝煙と情炎」

 お金出して売る以上、最低限の文章作法を押さえておいてくれませんか? 句読点すらないのは流石に理解できない。なんの前触れもなくストーリーがアイドルヒーローズになるところは流石に失笑しかできない。単純に大いなる実力不足。上下巻合わせてもぶっちぎりでクオリティが低い。ストーリーも無理があるが、それを表現することにも失敗しているので作者と読者でテンションの差が激しく、心が冷めてしまう。駄作にも劣る。

 

「日刊横山奈緒・特別編」

 改行が気になるけれどネット上だとよく見る表現だからそれは良いでしょう。ただつまらない。というかネタが大阪? の路線を詳しく知らないといけないのか何一つ伝わってこない。コメントに困る駄作。

 

「けじめ。」

 もう少しボリューム多めにして、プロデューサーの気持ち悪さを描写しておけばオチで一層のカタルシスが生まれたのではないでしょうか。それはともかくストーリーの骨格自体は良いと思いました。凡作。

 

「orion」

 あっさりしすぎている気がして少し勿体ないように思えます。ただ、星空を二人が各々解釈する、というテーマ自体キラキラしていて素敵です。雰囲気もいい、まあ凡作。

 

「雨ざらしの心に」

 これも随分とあっさりめ、作者さんの特徴なのかもしれませんね。親と喧嘩した志保と、仲が悪くて喧嘩すらしないほど冷え切った静香の描写が上手くできていてよかったです。特別面白いわけでもなく、凡作。

 

「怠惰。あるいは天空橋朋花の憂鬱」

 特に何も伝わってこない。つまらなくもないが面白くもない。淡々と、あっさりと話が終わる印象を受けます。駄作。

 

「問、徳川まつり」

 設定が少しわかりにくい。昔事故にあったことを前半でほのめかしておいてもよかったように思えます。文章力が足りていないのか何とも淡白な作品。徳川まつりの解釈も個人的にはあまり好きになれない。駄作。

 

「おうし座の稜線をなぞって」

 昴の家で金魚を飼っているという設定は初耳でした。

 作品自体は結局何がしたかったのか、と。特に伝えたいことがあるようにも思えない作品。まとめかたもキャラクターに説明させ過ぎていて、雑にまとめようとしているという印象。駄作。

 

「これまでの幸せとこれからの未来を」

 百合作品、みらしずですね。

 同性愛における障害を取り扱っている作品。しかしキャラクターが三十路に近いのに一切大人びていないように描写されているのは残念。喧嘩の下りも含めて幼すぎるように思える。プロポーズとエピローグの場面の転換も雑、唐突過ぎて読後感がもやもやする。駄作。

 

「ことめぐエレと次のライブ」

 あまりに何もないストーリー。淡々と適当に文章を消化しただけに感じてしまいました。これを読んで何を感じろというのか、空虚過ぎる。駄作。

 

「地球儀にない国」

 セリフが多いですね。もう少し百合子の内面を詳細になぞった方が話に説得力が宿ったような気がします。特に、表題の曲に作品のほとんどを依存しているからこそ、この作品自体にも魅力がないとどうしようもない。曲にあやかっていることに甘えているだけの駄作。

 

「Litte World」

 Litte って調べても分からなかったのですが何語ですか? 誤字ですか?

 短い出来事を何回も収録して一本の話にしている作品です。設定自体は悪くないはずが一つ一つの話があまりにつまらなさすぎる。特に何が起こるわけでもなく、だらだらと続いていくので退屈でした。パロネタや内輪ネタ(他作者の名前を出す)ところは読んでいて恥ずかしくなりました。もっと読者のこと考えてくれませんか?

 一応オムニバスのようなものをしたかったのでしょうが、あまりに強引すぎてカタルシスも説得力もない有様。あとエレナの口調に違和感。駄作。

 

 これで全作品終わりですね。上巻に比べて下巻は百合が多かったのと……何より微妙な作品が多かった印象です。